映画「ソフト/クワイエット」

 すさまじく胸糞の悪い、ヘイトクライムの一部始終を描いた映画です。

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 筋立てとしては、序盤幼稚園教師エミリーが教会の談話室で白人至上主義のグループの会合をしているシーンが描かれる。

 

 この会合だけど、主要登場人物の紹介でもありヘイトクライムを行う人となりのインタビューの様に進行する。ここで、エミリーを含め女性たちがずいぶんと古い価値観を持っているのが分かる。エミリーは教師だったり、ジャーナリズム専攻していた参加者もいるのに何故か彼女たちのものの見方はひどく古いのが分かる。

 

 これはおそらく学があっても、人生は学び続けるものだと思うので、彼女達はそういった自己研鑽をして認識を変容して来なかったのがわかって、他人ごとでは無いなと思いましたね。

 

 そして、その会合を目撃してしまった教会の神父に彼女たちは追いだされる。なにせ会合で食べるパイにハーケンクロイツが描かれたり、人種偏見丸出しの会話が聞こえて来たりしてますからね。

 

 追い出されたあと、ナチ式敬礼ドイツ国内では違法!)をしてふざけたりしたのち、彼女たちのひとりが経営しているスーパーマーケットに行く。

 

 そこでアジア系の姉妹が入店して来る。いきなり差別や偏見の対象と対面してしまう訳だ。

 

 案の定彼女たちはその姉妹に意地悪をしたあと、言い争いになり険悪な雰囲気になり姉妹は去る。ここで、姉妹のうち妹の方がエミリーの兄に性的暴行を受けてムショ送りになっているのが判明する。要するにヘイトする家系であると。

 

 身勝手な憤懣を抱え、彼女たちはちょっとイタズラしてやろうくらいの、本当に軽いノリでなんと姉妹の家に侵入の相談をする。

 

 そこにエミリーの夫が表れて止めようとするんだけど、ここでエミリーが夫を「男らしくしなさい」とか「タマ無しとか思われたいの?」と協力を焚きつける。

 

 そう、「有害な男性性」を持っているという女性たちなんですよねこの人たち。

 

 で、ここからが話のクライマックスで、彼女たちは本当に姉妹の家に侵入し(!)家の物を勝手にあさったりワインを飲んだりする。あのさ、考えてみてほしい。自分の家に帰ったらこんなやつらが我が物顔でいるということを。絶対に嫌だし恐怖を覚えるでしょう?という描写。

 

 姉妹が帰って来てあわてたエミリー達は、冷静さを保てずに姉妹を捕らえ、挙句の果てに殺害してしまう。取り返しのつかないことをしてしまったのに、彼女たちは警察に出頭することもなく証拠隠滅に心を砕き、姉妹の死体を湖に沈める。

 

 以上の話をカメラのワンショットで撮影していて、ここらへんとかは「アドレセンス」に酷似しているかなと思いました。偏見に基づく殺害という点でも共通するものがありますし…

entanglement26.hateblo.jp

 

 実は一番最後にまだ続きがあって、私的にはそこは違うではないかなと。なんか犯罪者はきちんとこの後裁きを受けますみたいな終わり方なんだけど、そこは残酷に加害者が裁かれないという結末にした方がよりヘイトクライムの嫌さ・おぞましさが浮かびあがるのでは無いかなと。

 

 なお、ベクデルテスト(映画におけるジェンダーバイアス測定)にはパスしていたりするのは皮肉というかなんというか…