Netflix「トナカイは殺されて」

 スウェーデン先住民族サーミ人の女性が主人公の映画。

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 映画本編は、サーミ語という彼らの言語で進行します。スクリプトとしては、主人公が子供の頃に、自分が大切にしていたトナカイが殺される。そして彼女は犯人の顔をちゃんと見るのだけれど、何故か言えずに10年が経過。その10年間にその犯人は野放しでトナカイの密猟を繰り返すも、警察ははっきり言って見て見ぬふり。

 

 話の展開上犯人は死ぬんだけれど、主人公に殺される訳では無い。この物語が描きたいのは実はどっちかというとサーミ人が現在抱えている悩みというか窮状だと思います。

 

 気候変動によってトナカイと暮らす自分達のアイデンティティが脅かされているけど、各人には生活があるので近代化を止む無く受け入れサーミ人アイデンティティを捨てざるを得ないとか、少数民族が受けがちなヘイト(SNS込み)が描かれる。

映画「パディントン2」

 第1作も良かったけど、第2作の方が評判がいいので。以前見たけど途中から、しかもちゃんと最後まで見ていなかったりするので今回はちゃんと見ました。

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 ファミリー向け映画だから、人語を喋るクマであるパディントンにみんなすぐ馴染むのを突っ込むのは野暮なんでしょうね。オープニングのシーンで、パディントンが孤児というか、親からはぐれたんだか捨てられたんだか知らないけれど、かなりハードコアな幼少期だったのが分かる。

 

 主人公として共感出来るか出来ないかといえば、「あまりモフモフしたくないキャラクター」だと思う。毛がマーマレードでベタベタしてそうだし。

 

 物語は「やさしい世界」で繰り広げられるので、安心して見られます。明日仕事なので、ドギツイ映画はさけたいですし。相変わらず伏線回収は見事で、最後の悪役でさえも救いがあるのは良き。

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 どうも「3」あるんですね。故郷に戻る話の様ですが、おそらく期待を裏切らない素晴らしい作品になるでしょう。

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映画「ロボットドリームズ」

 たぶん、「ズートピア」みたいなほのぼのとした作品を期待して見に来る人もいると思います。でも、そう思って見に行くと、肩透かしどころか軽く平手打ちを喰らう様な気分にはなります。私はなりました。

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 タイトルの意味は結構早い段階で分かって来ます。なんというか「ダンサー・イン・ザ・ダーク」若干入っているし。

 

 言いたいことは分かりますよ、「喪失」がテーマだというのは。それはツインタワーがしつこく映し出されることからもはっきりと打ち出している。

 

 でもさー、「Dog(キャラクター名が無いのでこう表記するしかない)」にとって、「最初のロボット(こう表記するのは映画本編をご覧になれば分かります)」って結局のところ「IT(入れ替え可能な存在)」でしかなかったんじゃないの?

 

 Dogは結局自分の孤独による寂しさを埋めてくれるなら、最初のロボットでなくても良かったんじゃん!あのロボットを単なる「デバイス」に例えれば、孤独が埋まることで幸せホルモンであるところのオキシトシンが分泌されればいいってことでしょ?それってすごくイーロン・マスク的だと思う。

 

 アニメーションは素晴らしいですよ。それだけでも見て良かったとは思います。けど、上記の点が非常に引っ掛かったので、私は微妙なツラにならざるを得ませんでしたね。家族で見たら、子供はきっと「なんでDogはあんなことするの?」くらいは親に尋ねると思う。ファミリー向け映画ではないですねこれは。

映画「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」

 ライムスター宇多丸が、アトロク2で絶賛していた作品。

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 うーむ、2023年にアメリカンニューシネマをやったということ以外は、しんみりとした映画くらいにしか感じられませんでした。まだリテラシーが低いんでしょうね私。

 

 内容としては、1970年のイギリスの寄宿学校を舞台に、3人の登場人物が休暇なのに置いてけぼりを喰らう。物語が進むにつれ、彼らは2重に置いてけぼりを喰らっているのがわかり、交流が生まれていく。

 

 学生役の問題児アンガスだけど、おそらく彼はASD高機能自閉症スペクトラム障害)なんでしょうね。成績は優秀だけど、アンガーマネジメントが出来ないし、すぐに相手を怒らせてしまう共感性の無さとか、アイコンタクトに問題を抱えているとか。再婚した母親に捨てらているという「置いてけぼり」

 

 ベトナム戦争で息子を亡くした厨房で働いているという「置いてけぼり」を抱えているメアリー。

 

 そして、孤独のまま中年を過ぎて、生徒から「出目金」と蔑まれている教師のポールが、最後アンガスをかばう為に嘘をつき、校長を罵ったことで長年勤めていた寄宿学校をクビになるという「喪失」を抱えるも、たぶんそれは彼にとっては新たな人生の始まり、解放なのだと思う。

 

 非常にしんみりとした内容の、大人の味わいを感じる作品。でもだからこそ私には合わないかなと思いました。いい映画だとは思いますが好みでは無かったです。

映画「ダークナイト」

 「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」があんな形になってしまったから、今一度口直しの為に視聴した訳ではないです。

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 言わずと知れたクリストファー・ノーランの傑作アメコミ映画「バットマン」の第2作目。この映画でジョーカー役を演じたヒース・レジャーは、残念ながら自死してしまったんですよね…

 

 たぶん極めて普通の人だったであろうヒースは、ジョーカーを演じていくうちに、「この世界は自分が知っているような世界ではなかったんだ」と、嫌な気づきを得てしまったからなんでしょうね。

 

 作中、バットマンは決してジョーカーに勝てないで負け続ける。2回ジョーカーを殺せるチャンスがあるんだけど、不殺生主義者であるバットマンにはそれが出来ない。そして終盤やむを得ないにしろ、バットマンは自分に課していたルールを破ってしまうことでもジョーカーに敗北する。

 

 「正義は敗ける」「愛は破れる」シーンを見せつけられ、ハービー・デントは悪堕ちして「トゥー・フェイス」になってしまい、ゴッサムシティの希望は破られたかに見えるが…

 

 テーマとしては「我々にはフィクションが必要だ」ということ。それは今作では2つあって、アメコミ映画というフィクションと、我々が絶望しない為の「物語」。

 

 人間はフィクションを信じることが出来る生き物なので、映画に限らず「物語」というものがいかに重要か、それを本作は伝えている。

映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」

 一時期ネットミームとして何度もこすられた「ペニーワイズ」が出て来る作品。

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 まさかペニーワイズ役がビル・スカルガルドとは知りませんでした。内容としてはスティーブン・キングが原作だからなのか「スタンド・バイ・ミー」にホラーが足された感じ。

 

 主人公は思春期の少年少女達で、同じ年ごろなら共感出来るキャラクター。みんなそれぞれ悩みを抱えていて、物語後半でそれぞれ「殻を破る」特にベバリーの境遇はキツイ。

 

 あんまりメタ読みする映画ではないんでしょうけど、なんというか、思春期から大人への通過儀礼を果たすような作品でしたね。

映画「パディントン」

 現実があまりにも希望が無いので、絶対に間違いのない映画を見て癒されたいと思い視聴。

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 「パディントン」は第2作が傑作と誉れ高いのですが、第1作が未見、もしくは忘れてしまったので見ました。

 

 ファミリー向けですが、それを凄く真剣にハイクオリティに作るとここまでの物になるのだという見本の様な内容。最初共感出来ない主人公(クマだし)だったけど、話が進むに連れて彼に思い入れ出来る様になり、はく製にされそうになり追い詰められるも人間の家族に助けられ窮地を脱する。

 

 ニコール・キッドマンの悪役が楽しく演じていそうで愉快。途中で出て来るタクシー運転手がバキ童に似ていたり、ピタゴラスイッチ的なシーンがあったりして本当に間違いのない仕上がり。伏線回収も見事!