ジョージ・クルーニー主演のヒューマンドラマ・コメディ映画(Netflixの紹介分にはそうある。コメディなのか?)。ジョージ・クルーニー主演作品てあまり見ないのですが視聴。監督は「バービー」のノア・バームバック。
ロッテントマトスコアは、批評家の評価は若干低いですね。
主人公はジェイ・ケリー(ジョージ・クルーニー)という、ハリウッドスター。それも大成功を収めた超売れっ子という設定。だけど、冒頭に自分が出演している映画で死ぬ役を演じていることからもわかるように、むなしさを抱えている。いわゆる「金持ちの不幸」な訳。
で、突然現れた級友から殴られたことを機に、ヨーロッパ旅行に完全な気まぐれで行くことになる。一度は断った賞の授賞式に出るという口実で、彼はその途中で今までの人生を振り返ることになるのだが…というのがあらまし。
正直序盤が退屈に感じました。ジョージ・クルーニーが自己言及的にこの映画に出演しているのかなと。でも調べてみるとケリーとジョージ(以降便宜上こう呼称します)とは似通った点はあまり無いみたいだし、そもそも監督はノア・バームバックなんですよ。だからそこらへんを勘案するとコメディとして見れるのでしょう。
ケリーなんだけど、彼は自分のキャリアの為に周囲の人を巻き込み、犠牲にして来た「共感出来ない人物」であることがわかってくる。サイドプロットとしてマネージャーのロン(アダム・サンドラー)の話が出て来るんだけど、この人が本当にケリーのキャリアの為に頑張ったせいで本当に愛している人とは結婚できずにいたこともわかってくる。同じ列車に乗らずに別れるシーンに「人生の悲喜こもごも」を感じますね。
ヨーロッパ旅行には別の目的もあり、娘の友達のカード情報を元に娘を追跡したことが原因で娘からも去られてしまう。こういうことをするから人が離れていくんだよ!と突っ込まずにはいられない。
不仲だった父親と、授賞式をきっかけに仲直りしようと試みても、関係は修復せず父親の体調不良も原因で父親もこのお話から去る。
別の娘さんとも、「パパは私に興味が無いのがわかったの!」と過去の回想から愛想をつかされているのが判明して、こいつ本当にどうしようもない奴だなと思わされる。ケリーがベン・オールコック(パトリック・ウィルソン)と出会ってしまうシーンがキツイのか笑いどころなのか微妙なのですが、おそらく家族を犠牲にしなかったので授賞式は家族が全員揃っているベンと、この時点では完全にひとりぼっちなケリーとの対比といったらもう…
ロンもロンで、もう一人マネージャー契約をしていたベンからクビを宣告される。ここまで来てケリーとロンが似た者同士であることがわかってくる。クビを宣告されるシーンで、ケリーからもらったネッカチーフを脱ぐんだけど、ここではてっきりネッカチーフが「犬の首輪」を象徴していて、ケリーがこのあと完全にぼっちになるのかと思っていましたが、ケリーに引き留められてロンは翻意する。ロンは家族がいるのに、正直不可解と言わざるを得ないというか、まあケリーを見捨てるとギャラが入って来ないからなんでしょうけど。
そしてラストシーン。授賞式でケリーの過去作がダイジェストで流され、それを見ている観客をさらにケリーが見るという構図になっている。観客は目を輝かせて画面に集中しているのを見て励まされ、ケリーは自分が再起出来るのかもと思って終わる。
なんだろう、テイストとしてはフェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」に近いのかなと。でも、この映画をジョージ・クルーニーが務めている訳ではないし、おそらく観客が「8 1/2」を見ているという、結構リテラシーを前提にして作品を構築していると推測します。
監督が本人ではなく、それでいて主演俳優が自己言及っぽい作品という類似性のある作品だと、デヴィット・ロウリー監督、ロバート・レッドフォード主演の「さらば愛しきアウトロー」にも似ていましたね。

