なんか薄々そうなのでは無いかなと思っていたことが、この本を読んである疑問が氷塊しましたね。
何故アメリカでドナルド・トランプが大統領に返り咲いたのか、何故近代文明国家で極右政党が台頭しているのか、それが腑に落ちました。
原因はリベラリズムだったのだと。
私は最初「?」でしたが、その理由は本書を読み進めていくうちにわかってきました。
リベラリズムが際限の無い個人の欲望を抑制せずに促進し、古い因習や制度を忌むべきものとして退け破壊してしまったことにより、エマニュエル・トッドいうところの「ゼロ宗教状態」が生まれ、倫理や道徳規範が失われ、人々は孤独や不安を抱えてしまった。リベラリズムの達成によって地域の共同体が破壊された結果、個人が包摂されなくなったんですね。
そしてその不安や孤独を手当てするために、当然のごとく寄りかかれるものを人は求める。人間そんなに強い生き物では無いですから、強い国家を望む訳だ。
だから「強そう」なドナルド・トランプや極右が台頭する。論理的に当然の帰結。
日本は西欧列強の脅威に対抗するためにやむを得ず近代文明国家になるしかなかったんですけど、なってみたら「寒かった」。それは夏目漱石の文学作品にも表れていたりする。
リベラリズムが台頭するのが必然なら、それが達成されたが故に世界が崩壊していくのもまた必然だったりする。人の欲望には限りが無いけれど、地球の資源は有限ですからね。後の世の人たちのことを考えず、自然を征服すべきものと捉えて破壊するという無責任さもリベラリズムの特徴。
本書の最後の方には解決策が提示されていて、それはリベラルアーツ(一般教養)を学び知性を磨き、人とつながりを持てということですが、はたして今の私たちに出来るがどうかは非常に微妙です。
私は機能不全家族に生まれ、既に崩壊していた地方で育っているのでここまで生きて来て包摂された経験が無いんですよね。だからこの著者が主張していることは頭ではわかるんだけど、そちらには行けない感じがするし、リベラリズムの欺瞞をこの本で知ってしまったのでリベラルにもなれないという、非常に中途半端な立ち位置なのだと気づかされました
