漫画「望郷太郎 13巻」

 とうとう日本に帰って来た太郎。

 この漫画って、物凄くギリシャ的なんですよね。どういうことかといいますと、たとえ人類が最初から歴史をやり直したとしても、結局は同じ道行を歩むだろうという点でギリシャ的。

 

 だから、お金を発明するのも集団を形成して国家を営むのも避けられず、「発展という病」から逃れられない。

 

 からだ、というか「身体性」の話が繰り返して出て来るのは、我々近代人が如何に「からだ」を失ってしまったのかを表している。

 

 この巻で太郎たちは北海道から東京目指して南下するのですが、パルの目的地である途中十和田湖に立ち寄るシーンがあります。そこでパルはこの世界はどこまでいっても弱肉強食であるのを知り、なんとも言えない表情をするのは意外でしたね。

 

 自身のフィジカルが強いが故に、てっきり弱肉強食上等で生きているのかと思いきや、パルの内面の複雑さを表すエピソードですね。

 

 そのあと太郎たちは東京に着きます。私はてっきり東京で話の決着がつくと思っていたのですが、九州が旅の最終目的地になるんですね。日本の歴史がある意味で始まったとされる邪馬台国(その地は諸説あり)の生まれた土地が最後というのがまた効いていますね!

 

 そして予想通り娘さんは生きていて、おそらく太郎と同い年くらいな状態で退治するのではないかと。マー(この世界で言うお金)に取りつかれ、その権化と変わり果てた娘さんに出会いいったん絶望するんでしょうね…