あまりホラー映画を見ていなかったので、今回はグーグルのAI「Gemini」に「2020年代のホラー映画の傑作を教えてください」と聞いてみたら本作が上がったので視聴。
「透明人間」は何度か作られていて、ジョン・カーペンターだったり、ポール・ヴァーホーヴェンが作ったりしていますが、今回は「Saw」シリーズで脚本を担当しているリー・ワネルが監督・脚本を兼任。
で、筋立てとしては、主人公セシリア(エリザベス・モス)が、夫と暮らしている超豪邸から逃げ出すシーンから始まる。無事に逃げおおせ、シングルファーザーの警官父娘の家にかくまわれる。そこで奇妙な現象に見舞われるも、警官のジェームズは夫から受けたDVの影響だと言われる。
ここで、本当にDV被害を受けた後遺症で、精神が病み、透明人間がいるかの様に感じている彼女のリハビリの話にしてもいいのではと思ったりしました。まあそれでは話の内容が地味でもあるし、観客にもこの時点では警官と同じく彼女のメンタルに問題があるからなんだと思わせる演出。
中盤に差し掛かるあたりでジャンプスケアがあり、この映画がホラーだと告知される。そしてセシリアは追い詰められる。そう、主人公は追い詰められることで物語の推進力は増す。
種明かしの伏線は、実は序盤にもうあって、DV夫が光学の研究者で、透明人間はいわゆる「光学迷彩」だったことが、観客にはわかる。が、観客とセシリアしか正体は知らないので、他の人間からしたらセシリアがおかしくなっているのだと見なされ、目の前で妹が惨殺され、セシリアは精神病棟とおぼしき施設のぶち込まれる。
病院から連絡があり、彼女が妊娠をしていることを告げられ(望まない妊娠!)、徹底的に追い詰められる彼女。そしてここから反転攻勢が始まる。
DV夫は子供を望んでいるのだから、自分を人質にしておびき寄せ、撃退する。一件落着かと思いきや、まだ決着はつかず、最終局面に入る。このシーンは実際に見て確認してください。ここで終わってもいいのにと思ったけど、サービス精神がある作品だなと思いました。
最終局面においては、「フード理論」が出て来て、セシリアはDV夫と食卓を共にするも、決してそこにある料理は口にしない。つまり絆はないという、映画では食事を使って関係性をあらわす演出だったりする。もちろんDV夫は当然の報いを受け、観客も納得して映画は終了。
娯楽映画として、上手いし、何より女性の視点で透明人間をリブートするというのがまた巧みだと思いましたね。セシリアのあだなが「シー(見る)」というのもまたいい!私、以前「バーバリアン」という映画が、男性からしたらなんてことないシチュエーションでも、女性がその立場になったらたちまちホラーになるというのが分からなかったので、今作もちゃんと見れないのではと危惧しましたが、なんとか咀嚼できたのではないかと思いました。